我が家の門扉には、私が子供の頃からずっと変わらない、古めかしい簡単な鍵が付いていました。施錠するのに少しコツがいるその鍵は、いつしか誰も使わなくなり、門扉はただ開け閉めするだけの、いわば「飾り」のような存在になっていました。そんな意識が変わったのは、近所で空き巣被害があったという話を耳にしたことがきっかけです。我が家の無防備さを急に突き付けられたような気がして、急に不安になりました。すぐにインターネットで門扉の鍵について調べ始めると、その種類の多さと、防犯性能の進化に驚かされました。ピッキングに強いディンプルキー、便利な電気錠。様々な選択肢の中から、妻とも相談し、まずは信頼性の高いディンプルキータイプのシリンダー錠に交換することを決めました。DIYも考えましたが、防犯に関わることなので、今回はプロの業者さんにお願いすることに。依頼した日の朝、作業員の方が手際よく古い錠前を取り外し、新しい錠前を取り付けていく様子を、私は興味深く眺めていました。作業は一時間ほどで完了。以前の古びた鍵とは違い、がっしりとした重厚感のある新しい錠前は、門扉全体の印象まで引き締めてくれたように感じます。その日の夜、初めて新しい鍵で門扉を施錠した時の「カチャン」という確かな手応えは、今でも忘れられません。それは、単なる金属の音ではなく、家族の安全を守るという、確かな安心感の音でした。それ以来、夜間や外出時には必ず門扉の鍵をかける習慣がつき、不思議と家全体の防犯意識まで高まったような気がします。たった一つの鍵を交換しただけですが、私たちの心にもたらされた平穏は、想像以上に大きなものでした。あの時、思い切って行動して本当に良かったと、門扉の鍵を見るたびに実感しています。