キーボックスの安全性は、製品そのものの性能だけでなく、「どこに設置するか」によっても大きく左右されます。どんなに高性能なキーボックスでも、設置場所を間違えれば、そのセキュリティは無に等しくなります。侵入犯の心理を読めば、絶対に避けるべき危険な設置場所が見えてきます。最もやってはいけない、そして最もよく見かけるのが「玄関ドアのドアノブ」への設置です。これは、侵入犯に対して「家の鍵は、まさにここにありますよ」と親切に教えているようなものです。犯人は他の場所を探す手間すら必要ありません。すぐにでも解読や破壊に取り掛かることができる、最も危ない設置場所と言えるでしょう。次に危険なのが、「ガスメーターや水道メーターのボックス内」です。これらの場所は、外部からの点検のために開けやすい構造になっており、侵入犯が合鍵などを隠す場所として古くから悪用されてきました。当然、キーボックスを探す際も、犯人が真っ先に確認するポイントです。人目につきにくいという安心感から設置してしまいがちですが、それは犯人にとっても作業がしやすい環境を提供していることに他なりません。また、「人目から完全に隠れる建物の裏手や植え込みの中」も、一見安全そうに見えて実は非常に危険です。人目に全くつかないということは、犯人が誰にも邪魔されることなく、時間をかけて破壊や解読作業に集中できる絶好の環境を与えてしまうことを意味します。では、どこが比較的安全なのか。答えは「ある程度は人目につくが、あからさまに目立ちすぎない場所」です。しかし、そんな理想的な場所を見つけるのは至難の業です。結局のところ、屋外に鍵を保管するという行為そのものが、本質的に危ないリスクを伴うことを理解し、キーボックスを「常設」しないことが何よりも重要なのです。